2026年5月14日木曜日

私の原点について

 


私が歯科医師を志した原点は、幼い日に訪れた一つの歯科医院にあります。


当時の私にとって、歯科医院は決して気軽に通える場所ではありませんでした。何をされるのだろうか?痛い事をされるのではないだろうか。幼いながらに様々な不安を抱えながらクリニックの扉を開けた事を、今でもよく覚えています。

けれど、その場所で私を迎えてくれたのは、恐怖ではなく、安心でした。


待合室には、どこかやわらかく爽やかな柑橘の香りが漂い、空間全体に穏やかな空気が流れていました。そこで接してくださった歯科衛生士さんはとても優しく、ブラッシングの仕方を丁寧に教えてくださり、最後にはミントがほのかに香るフッ素塗布をしていただきました。

そのひと時は、単なる処置ではありませんでした。幼い私にとってそれは、自分の歯が大切に守られていること、自分自身が丁寧に扱われていることを初めて実感した、忘れがたい体験でした。


そのとき私は、歯科医院とは「悪くなった歯を治す場所」である前に、「歯を守り、未来の健康を育てる場所」でもあるのだと知りました。

「治療」だけではなく「予防」があること。

痛みが出てから向き合うのではなく、健やかな状態を守り育てていくという考え方があること。

その出会いによって、私の中で歯科医院の存在は大きく変わりました。怖い場所ではなく、自分の健康を大切にすることを学べる場所へと、その意味が変わったのです。


診療のあと、先生からかけていただいた「上手にできたね!」という一言も、今なお私の心に残っています。

幼い子どもにとって、その一言はとても大きな意味を持ちます。認めてもらえたこと、守ってもらえたこと、そして自分の歯を大切にすることは価値のあることなのだと感じられた事。それは小さな成功体験であると同時に、歯科医療が人の心にまで寄り添えるものなのだと教えてくれた出来事でもありました。


あの日の記憶は、時を経ても色あせることはありませんでした。

むしろ年齢を重ねるほどに、その体験の意味は私の中で深まり、やがて一つの強い想いへと育っていきました。

自分が受け取ったあの安心感を、今度は自分が誰かに届ける側になりたい。

不安を抱えて来院される方に、少しでも穏やかな気持ちで過ごしていただきたい。

歯を守ることの大切さと、その先にある人生の豊かさを伝えられる歯科医師になりたい。

その願いが、今日の私の原点となっています。


現在、私が日々の診療で大切にしているのも、まさにその想いです。

目の前の症状だけを見るのではなく、その方がこれから先もご自身の歯で食べ、笑い、話し、人生を自分らしく歩んでいけるよう支えること。

必要な治療を丁寧に行うことはもちろんですが、それと同じくらい、できる限り悪くならないように守る視点、安心して通っていただける環境づくり、そしてご自身のお口に関心を持っていただくための対話を大切にしています。


歯科医療は、単に歯を治すためだけのものではないと私は考えています。

それは、その方の健康を支え、生活の質を守り、笑顔や自信を取り戻していただくための医療です。

そして時には、不安をやわらげ、前向きな気持ちをそっと支える力を持つものでもあります。

幼い日に感じた、柑橘のやさしい香り、ミントの爽やかさ、安心できる空間、やわらかな声かけ。

あの日のすべてが、今の私の礎になっています。

だからこそ私は、かつて自分がそうしてもらったように、お一人おひとりに寄り添い、その方の未来につながる歯科医療を誠実に届けていきたいと考えています。


歯科医院が、ただ治療を受けるためだけの場所ではなく、健康を育み、自分自身を大切にするきっかけとなる場所であるように。

そして来院された方が少しでも安心し、前向きなお気持ちでお帰りいただけるように。

その願いを胸に、これからも日々、真摯にこの仕事に向き合ってまいります。



何も起こらないという時間は、人生において、もっとも静かで、もっとも深い安心なのかもしれません。


相談だけでも大丈夫です。

あなたのお話を聞かせてください。




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芦屋ラポルテ歯の予防クリニック
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